Fat Tuesday Air Line

GOSPELとは!?

 ゴスペル、それは“Good News(福音)” 。

 ゴスペルのルーツは黒人教会音楽。18世紀の半ばに誕生したといわれる
この音楽は、黒人の悲しい歴史の中から生まれました。

17世紀頃から始まった奴隷売買。
アフリカから奴隷船に乗せられ、まるで荷物のように運ばれてきた黒人達。
鎖につながれ、何段もの棚に、棺に入るように横たえられ、寝返りさえできないまま。

港に着けば奴隷市に並べられ、綿花やサトウキビのプランテーションの労働力として
農場主に買われていきました。

 プランテーションでは、話をすることもままなりません。
黒人同士、集まることさえ許されませんでした。

誰かがうめき声を上げると、その声に答えるようにほかの誰かが声を上げる。
それが、黒人同士の秘密の会話の暗号としてコミュニケーションの手段になり、
それがいつのころからか、歌声になっていきました。
そして、こっそり集まったHush Harborsと呼ばれる小さな小屋のなかで、
小さな声で密かにスピリチュアル(黒人霊歌)を歌っていたのです。

奴隷のなかには家族と生き別れた人々も沢山います。同じ農場に買われても、
そう簡単に会うこともできません。
そんな中、唯一家
族との再会を許され、黒人同士の交流を許されたのが、
小さな黒人専用
の教会だったのです。
神に祈り、家族の健康を祈り励ましあう。
そして、
そこには虐げられた黒人の団結とパワーが宿りました。
貧しい人々の日
常生活に、希望と望みを与えたのが、黒人霊歌・スピリチュアル、
ブラックゴスペルと
呼ばれるものです。

 その後、南北戦争が終わり、開放された奴隷達は
南部から北部へと移りすむものが多くなりました。
そこで、牧歌的な黒人霊歌は、いよいよ都会的な新しい「音」に出会います。
ギターやピアノの斬新なコード進行、ドラムに管楽器。
それが、新しいブラック・ゴスペルの扉を開けました。
ゴスペルがひとつのジャンルとして、世の中に解き放たれる時代の幕開けです。
同じ黒人文化から生まれた音楽としてブルースがありますが、
基本的な
ルーツは同じなのにもかかわらず、片や神の音楽、片や悪魔の音楽として
(これは単純に言うと、酒や女、絶望を題材にしているということと、
歌やギターがうまい黒人歌手が白人資本のレコード会社などと契約し、
都会へ出て行っては、お金のために歌っているという意味で悪魔呼ばわりされた
という説があるようです)

まさに、生き別れた兄弟のようになってしまったわけです。

 ゴスペルという言葉は『GOOD NEWS』。福音を意味します。
読み書きができなかった黒人のために、一人が呼びかけ、それに答える
“コール&レスポンス”で聖書の言葉や賛美歌を伝えていきました。
そこに故郷アフリカの躍動感あふれるリズムが交わり、歌に独自のうねりが生まれました。
祈りの言葉とそこに込められた意味を、教会という彼らの聖域で歌うことで、
人間的な感情をなくしかけていた人々に、
生きる希望と心の支えを与えました。

 現在、マライヤ・キャリーやホイットニー・ヒューストン、ブライアン・マックナイトなどの
メジャーなアーティストが、アルバムのなかでゴスペルを感情豊かに歌いあげ、
教会だけでなく日常の暮らしの中でも耳にする機会が増えています。

また、HIPPOPゴスペルやラップ調のものなども登場し、その形は時代とともに
変化し、さらなる広がりを見せています。

しかし、その根底に流れている黒人の人々の生命力や祈りの原点は
変わらないものがあるのではないでしょうか。

そしてまた、楽譜ではあらわせない微妙な音の揺れ。
それは歌う人それぞれの揺れであり、思いであり、それが重なり、
声がハ-モニーになり、
ダイナミックでドラマティックなストーリーが語られる。
信仰のための歌という意味だけでなく、
なにかこう、“人間が生きるための底ヂカラ”を呼び起こしてくれる、
そんな、グルグルと渦を巻いた永遠のエネルギーが
そこに秘められているように私は感じます。


text by Missie.




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